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2017.12.15 Friday
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2015.04.02 Thursday



 題名の通り、声優の世界では有名な方が書いた声優の世界の本ですが、俳優とか、小説家とかにも言えるような内容で身につまされました、というか自分も思っていたことなのですが、私も「小説家になりたいんです」と言う人がいたら「やめなよ。真っ当に生きられるならそっちの方が絶対いいから」と言います。
 最近はボイスドラマなんぞを作るようになって、新人声優さんの音源や素人の方の音源を組み立てたりしているのですが、やはり才能の差というのはハッキリわかるものです。
 私が素直にダメなところを伝えると、だいたい素人の方には恨まれたりします。若い頃私も「自分は凄い」みたいな感覚があったので、よく思い出せば今の若い人たちの感覚もわからないまでもないのですが、なんせ私ネームバリューがまだ皆無なので、この方のようにハッキリ言うと恨まれることがかなり多く、「何言ってるんだ素人のくせに」のような辛辣な目を向けられ、挙句の果てには陰口を叩かれまくるという次第でございます。
 自分が仕事のできない人間だということが一番の原因ではありますが。

 さて、声優のことが書いてあるのですが、小説家も似たような事情に晒されています。唯一の違いは「自分で仕事を作れるかどうか」の違いがあります。
 小説家は自分で勝手に作れますが、役者はシナリオがないと役者にはなれない。厳しい世界だと思います。そして自分も最近になってようやく体に染み付いてきたことですが、こういうことをやる限りは、たとえ他人の車に引かれても仕事の面においては自己責任です。言い訳できません。それだけ身一つ、技術一つ、人間一つで勝負しなければいけないということです。
 ボイスドラマを作るようになって様々な素人や経験者や現役の人と触れ合う機会が多くなってきたのですが、「あー」と思い当たるふしが沢山書いてあり、特に素人の方で声優志望の人たちに多いのが「現実から乖離した夢を抱いている」ということと、何故かたいしたこともないのに「自尊心だけ強い」ということなんですよね。
 例えば大塚明夫と言えばアニメなどに興味のある人は代表作がポッと出るでしょう。本の帯に「メタルギアソリッド」というゲームの監督小島秀夫が「ボス」と書いてありますが、正直知らない人から見れば「ボスって何? だいぶ偉い人なのかな?」と勘違いしますし、ギリギリテレビを見まくっている人なら「セガールの声の人だよ」と言えば「あーっ」と引っかかる程度の有名さです。
 つまり、業界として既にニッチであり、そのニッチの中の有名人となると映画俳優とは比べ物にならないほどマイナーな役者ということになるでしょう。
 これが正常な見方だと思うのですが、どっぷり浸かっちゃっている人、それしか見てない人は、もう世界そのものがサブカル系に浸されていて、物凄く飛躍したイメージを抱いていることが多々あります。
 そしてその飛躍したイメージは自分に対しても向けられる。自分は主役を演じるのにふさわしい人間だとか、人気キャラを担当して伸び伸びと演じていて、見ている人が感動して、よかったです素敵です、だなんて言われる姿まで想像していたりします。よくわかります。自分もかつて、テレビに文化人として映ってチヤホヤされて、ちょっと格好のいいこと言っている自分みたいなのを想像していました。反吐が出るような思い上がりでした。
 この年になり、様々な経験をして鼻っ柱も折られまくって陥没し、自分の実力もよくわかるようになりました。才能ってなんだろうとか、才能がないんじゃないかとか、色々悩んで、自信満々の作品が落とされて、あまりにも情けなくて思わず母親の前で泣き崩れたこともありました。
 そして同じことをやっている人たちも少なからず見てきましたので最悪の末路も知っています。でもやめることができなかった。その時「書けなくなることが嫌なんだな」と思いました。自分の場合消去法ですが、どうしても最後に削れなくなる物がこれしかなかったし、そのために人生そのものをリスキーにしても別にかまわないと思いました。純粋に作品の精度と向き合うのが楽しい。そして私はまだ手段を沢山持っているし、頭の中のものを全て出し切ったわけでもないので、やめたら即人生後悔するわけです。
 私のことは沢山書く機会があるので、他の場所で致しますが、声を聞いていて思ったことは「上手い」と言われている人でも、どうもその人の中でテンプレートがあって、そのテンプレートを繰り返しているだけという人がいます。長い年月聞いてもいっこうに演技が変わらない。安定しているとも言えるのですが、人間味がまったく深まっていない。若くて上手い人が現れたら取って代わられる程度の実力。きっとその方ちやほさされるのが心底好きなんだろうことがよくわかるのですが、たぶん本人それを隠す。
 本にも書いてありましたが、こういう世界で自分に正直じゃない人って未来の方向性がハッキリしない。で、本当に厄介なのはプロでは食ってはいけないけど、素人よりは断然上手いっていう中途半端な人って、何故か妙なプライドを持っていて、文章の世界でも声の世界でも同じような状況が展開されていました。
 そういう人、素人を見て胡坐をかいているか、もしくは見下すか、どちらかが多かった。無駄にプライドが高くて完全に自分の成長を阻害している。自分の実力を客観視できないから必要な批判と必要ではない批判の区別ができない。もうここに至れない時点で才能がないと私などは思うようになりました。
 演技というのが何かはよくわからないのですが、少なくとも小説というものから見ると、才能があれば文章は年を取るごとに円熟味が増します。というのは様々な経験や人との繋がりから、優れたものもダメなものも自他共に見つけます。当然凄い目利きの人にケチョンケチョンに、立ち直れないほど言われることもあります。少なくとも私は深く傷つかなければ、ここまで気づくことはなかったのではないかと思います。でも、見ている限りプロになろうとしている人の中でもプロの目線から逃げ続ける人、圧倒的に多いと実感しています。
 そして少しでも自分の境遇を他人のせいにする人は、正直会社員生活のほうが絶対合ってますので、就職活動頑張ってくださいと心より応援させていただきます。だってこの世界本当にまともな人間が来るところじゃないんだもの。だからまともな人はまともな社会で暮らして欲しい。親とか親戚とか悲しませるしね。夢追ってて格好いいね、なんて云われるのは30歳まで。その前からも言われますが、その後は辛辣な言われようです。食えないってそういう言葉を言われてもしょうがないんです。
 あと、声真似する人多いですね。声を真似て演技を勉強するんだと言っている人ちらほらいるんですが、文章を書く立場から見たら「?」です。何故なら文章の世界で有名な人の文体や作り方真似ている人、新人にもなれないので。で、当たり前の話ですがプロだってぬるい見方しないです。「ああこいつ、この人の真似しているな」と思われたら即アウトオブ眼中です。何故なら、オリジナルは既に業界にいて稼いでいるわけです。劣化したものいると思います?
 学は真似ると言いますから、よい文章を模写するのは勉強になるとは言われますけど、参考にはなっても完全に役に立つかと言ったら「NO」です。理由は文章も体で書くわけで、私には私の心と体と精神があって、私自身のリズムがあるわけです。その感覚をガッチリと掴みながら、時には登場人物を演じるかのように懸命にその人のことを考えて、自分の文章のリズムを音楽でも作るかのようにパズルのように組み合わせ、物語全体を調節していく。つまり、この体を持っている、この心を持っている、だからこそ書けている文章であると実感するようになりました。結局自分からはどう足掻いても離れられないというのがいい意味でも悪い意味でも理解したことです。
 これを演技で言うならば、その人間と体の作りも心も違うのにコピーを試みても、結局違う体と心を持った自分の素の演技に磨きがかかるかと言ったら、どうも聞いている限りでは疑問です。絵の世界でも偽物は贋作と言いますけど、本当に勉強になるのは、寸分の狂いもなくコピーできた時だけです。偽札が偽物だとわかったら価値がないのと似てます。比喩でもしっくりこないのだったら、言います。真似ても、どう足掻いても自分出ていて、その自分をガン無視し続けているんです。それを目指すより、相手の演技を聞き入って、どう返すかを考えつくしたほうが、コピーするよりも近道だと思うのですけど。どうやったら、この演技に負けない演技ができるのか。返すのではない。圧倒するんだという意気込みでようやく成長できる気がします。
 憧れてしがみ付く人は多いですが、去る人も圧倒的に多いところです。特にちゃんと家庭を持とうとか、当然周囲もまともに社会人やっていれば出世していく姿を見ることでしょう。それと自分を比べて惨めな気持ちになったりすることもあります。正直病みます。それ気にならない人だけ出来るとも言えます。
 そして長年やり続けることで邪魔になる物があります。あくまで長年です。10年とか20年とかやり続けるためのコツ。自己顕示欲と承認欲求を捨て去ることです。兎にも角にも理不尽なところです。努力した見返りはほとんどありません。テスト勉強をするように点数が出ないし、人気にあやかろうと思ってもまず思い通りにいきません。そして今まで努力の見返りは何らかの形で点数なり評価なりわかりやすいシステムの中で分別されてきましたが、人間の理不尽さそのものの真っ只中に突っ込まれることになります。とてもじゃありませんが、存在意義など見出せないしあまりの見返りのなさに擦れてきて最後には病みます。で、自分は必要のない人間なのだとわけのわからないことを言い出し、他人を恨んだり孤独感に打ちのめされたり、精神を充足させる道としては本当に選択を誤っています。そこは著者と何一つ変わらない意見をずっと持ち続けていました。
 同業者だったら自分のこともっとわかってくれるはずだという幻想も捨てましょう。プロはもっと厳しいです。同業者は同業者だからこそ容赦しないと思います。そして傷つくからということで馴れ合いをしている人、成長しませんのでいずれ誰かにすっと抜かれていきます。最初からモチベーションも低いので数年で溶けるようにして消えていくんですけどね。これ、あくまでプロになろうとしている人の話しです。遊びでやっている人は、楽しいのが一番ですし、サークル仲間とわいわいやるというのは日々お仕事などでお疲れの人生の癒しの一つとなるでしょうし、そこはまったく否定しません。
 私が見ている限り、本当に好きな人は自分で自分の欠点を見抜いて、誰に言われなくても勝手にやってます。好きってことは、ある意味オタク視点というのが出てきて、細部にこだわりだすし細部が気になりだすし、出来ていないのも気になりだすし、そこをできるようにするのが楽しいし、スキルアップしていった先の世界というものを見ていたり、自分への客観性を超えてシニカルさもあるような目で自分を捉えます。だから決して何かのせいにしないんですね。自分で失敗しているってわかっているから。だから勝手にやって勝手に直す。立派です。本当に尊敬できるタイプです。そしてその手のタイプ、超グングン伸びます。びっくりするほど。
 今声も出していますけど、気持ちは小説を書いている時とあまり変わりがなくて、声も出しているのとても楽しいし、出せば出すほど打ちのめされているし、課題が沢山あるって楽しいです。小説ももちろん。
 私はとにかく満足したい。あー、これよかったなー、と心底言ってみたい。こりゃすげぇ、とぞっとするものを創って見せたい。私は小説を書いているので、とにかく人間を見つめている。自分が演じることで動く心の細部を通しながら他人の存在をもっと別の角度から新しく発見したい。
 私は極端な例をいつも考えています。本当に大事なものを犠牲にしてでも、これをやり続けられるか、ということです。実際それに似たような経験もしたし、体験としては結構充分な域まで行きました。
 自分の人生捧げられますか? 他人から心底酷いこと言われても、これやれますか? 本当に凄い人とやり合って太刀打ちできるだけの自信つけられるようにしていますか?

 結構長く書いてしまったし、著作に書いてある内容とほとんどかぶりますけど、自分もずっと思ってきた内容だけに、自分もまとめてみることにしました。
 自分にとってはとてもいい本でした。

  私からアドバイスできることは、この本には今すぐにでもできるノウハウが沢山詰まっている。本当に覚悟があるのなら今すぐにでもやるべきだ。勇気があれば大胆な行動も取れるはず。迷っている暇はない。

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2011.02.19 Saturday


ちょうどこの本が出た3年前に、私は2ヶ月ほどアメリカにいた。
2005年2月のことだ。
写真を見つけて確認したので間違いない。
今から6年も前のことになる。

その時ホームステイをしていた。
ホストマザーが私が洗濯機や雨季だったため乾燥機を使うことに目頭を立てて怒った。
「私の家は貧乏なのよ!」と血相を変えていたのを思い出した。

少なくとも私が見ていたのはカリフォルニアのスタンフォードなどもあるサンフランシスコの少し北。
ここらいったいは学生の雰囲気があり、私のいた地域はのんびりした雰囲気もあった。
スタンフォード近くになると、学生も多くなるし、行き交う人が学生を受け入れていた。
電車の中で(電車の中に自転車を持ち込んでもいい)席に座っていたおじさんが学生に「お前その自転車どうしたんだ」と話しかけ会話していたので知り合いかと思ったらそうじゃないらしい。
そんな風に普通になごやかに成り立っている地域だった。

2005年の州知事は映画でもおなじみのシュワルツネガー知事。
市民活動家がサクラメントの知事のいる建物の敷地内でスピーカーを用意し「(ダム建設反対に際し)やつは鮭を殺すアーノルド・ターミネーター・シュワルツネガーだ!」と叫んでいた。
集団の中でかわるがわるダム建設反対についてマイクでしゃべる。
そういう活動が堂々と認められているらしい。

サンフランシスコ、このサクラメントでもそうだったが、ホームレスがごろごろいた。
友達と歩いているとサクラメントでホームレスに話しかけられ、「何か食べ物ないか?少しの小銭でもいいんだ」とはじめての体験をした。
そのホームレスは丸々と太っており、日本人の感覚として「そんなに太ってんだから、食べ物少しくらいなくても大丈夫だろ」と思った。
後ろから2人組みのホームレスに追尾されたこともあり、「ついてきているけど、なんかまずくない?」と話し合い足早に逃げたこともある。
特にサンフランシスコは見た目で治安のやばそうなところがわかる。
落書きが多くなり、ホームレスが多くなり、ゴミが散乱している。
見た目からして「荒んでいる」のがわかる。
だから興味本位で近づくのはやめていた。

食生活にいたっては日本食に慣れていると、アメリカのスタンダードな食事は「これ死ぬよね」という思いがした。
しょっぱい、脂っこい、甘い。
ミネラルウォーターよりもスプライトやコーラが安く、ファーストフードなど安いものは高カロリーのものであふれていた。
ホストマザーは食事の中に当然のようにお菓子(チップス類)を入れてきた。
さすがにこの食生活では太った。
ダイエット番組でも筋肉隆々の男が「これが俺のダイエット朝食だ!」と自慢げに卵やサワークリームなどでいっぱいの皿を見せられた時には目を真ん丸くしてしまった。
日本食ってカロリー栄養バランス共に優れているのだなとつくづく感じたものだった。
そして日本人は食生活共に恐ろしいほどの贅沢な環境にある。
最低限、水がクリーンで安全で、おいしいところさえもあるというのはとても幸福なことだ。

私がアメリカから帰ってきて3年後、この本が出た。
医療格差と保険会社の詐欺的行為や低所得層による肥満問題、戦争ビジネスの問題を浮き彫りにしている。
すべては中間層がことごとく低所得者層に落ちていき、這い上がるチャンスさえもないということだ。
その貧困問題が最低限の生活の保障を犯し、教育の格差も生んでいる。
そして民間企業による貧困ビジネス。
骨までしゃぶっていくかのような所業。
医療問題や貧困による教育格差、低所得ゆえにバランスのいい食事が取れず高カロリー食品をメインにとらざるを得ない状態、そこまではアメリカで多少暮らしていたから「ああ、あの延長線上にもっとひどい状態があるのだな」と想像できる。
しかし最もぞっとしたのは民間企業による傭兵派遣だ。

ゲームで「メタルギアソリッド4」というのがあり、このゲームでは民間企業による代理国家戦争というのを描いていたけれど、これを思い出した。
民間企業に個人情報がすべて「パッケージ」として細かにデータとして知られている上に、このコンピューター社会による、マイナス面がもろに出ていた。
我々の行動記録はほとんどデータとして法人や国家が管理している。
その情報はひとつの「パッケージ」としてまとまって管理されているわけだ。
「流出」でいちいち騒いでいるけれど、民間企業ならば倒産や合併後の情報管理までは制御しきれないと思う。
そして生活に困窮していれば、金を積まれれば個人情報は売ってしまうのではないのか。
そういう個人情報による「個人の格付け」。
借金状態から返済履歴、収入や現在の生活状態、家族構成、病歴、交友関係、購入物品履歴などなど、すべてのものが利用できる「パッケージ」として存在し、それが民間傭兵派遣会社に利用される。
高収入をうたい、最前線に派遣し、つかい捨てる。
これらはすべて低所得層がターゲットにされる。

この手の動きは戦争を放棄している日本とも皆無ではない。
戦争に参加しなくても、巻き込まれる可能性すらある。
そして日本人だって生活に困窮すれば悪魔に魂を売る人間だって出てくる。
これからの日本はアメリカのような国に巻き込まれてはいけないし、お金さえあれば何でもできてしまうような状態の中で他人の人生を金のために利用するような悪をのさばらせてはいけない。

アメリカは確かに自由だった。
しかし6年もたってその面影もなくなっているのかもしれない。
このことは私がいた6年前のアメリカが貧困社会への過渡期だったとしても、ものの数年でガラリと変化してしまうくらい国家というのはさじ加減ひとつで不幸な人間を数多く作り出すという教訓を肝に銘じておかなければいけない。

予断だけれど、これからの時代、貧困層は「現実」であえぎ、富裕層はより浮世離れしたバーチャルな世界で人生を謳歌するという2極化が起こるかもしれない。
もしそうなったら、貧困層からは偉大な政治家は資金力の問題で出てこないだろうし、お金を持っている人間は現実感がないから、いつまでたっても溝が埋められない。
こういう単純な構造に陥ることだけはよして欲しいと願うばかりだが、アメリカに似てきている日本は、これからどうなるだろうかと心配するばかりである。


P.S.
医療の問題に関してはマイケル・ムーアの「シッコ」。
マクドナルドの高カロリー食品のとりすぎによる内臓機能低下についてはモーガン・スパーロックの「スーパーサイズ・ミー」がある。
合わせて見るといいかもしれない。


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